前の記事では、公務員組織においては、総務・庶務の仕事を通して身に付ける事務処理能力・調整能力を高めることが組織での自身のプレゼンスを高めるために必須だという記事を書きました。
では、官公庁における「総務・庶務」の仕事には具体的にどんなものがあるのでしょうか??
民間企業と同様、公務員組織においても、民間でいう本社、支社、事業所などがあり、一般の人が想像するよりも幅広く勤務地が変わります。民間でいう本社は本省・本庁・市役所・町役場、支社は、〇〇管理事務所、都道府県税事務所、事業所はそれよりも小さい単位の職場になります。定年まで勤めあげれば、おそらく、大体の人がすべての場所を経験することになるでしょう。

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1.本省・本庁における総務・庶務
こちらは事業規模の大きな総務・庶務になります。
大きく分けると4つあります。
(1)財務
(2)人事
(3)渉外・調整
(4)文書
これらは、公務員組織が存続するうえで、一番重要な根幹となる部分と言えます。一つずつ見ていきましょう。
(1) 財務
財務といってもいろいろあります。枝分かれさせると、
(ⅰ)予算・決算
(ⅱ)会計
(ⅲ)契約
が、大枠です。
(ⅰ)予算・決算
予算は、簡単に言えば、行政側がこれまでの蓄積してきたノウハウや知識をフル稼働させて、住民ニーズに合うサービスを考え、計画し、その計画にいくらお金がかかるのか、どのように税金を使うのかをまとめたものです。その予算案は議会にて承認され、執行されるというのが大きな流れです。
決算は、どのようにお金が使われたのか、きちんと精査して、このような結果となりましたと、議会へ報告するためのものです。
この予算・決算というのはどの組織においても重要で、組織の存続にかかわるものであるので、非常に重要な業務といえます。
では、具体的にはどのような業務を行うのでしょうか??
本省・本庁においては、自らの部署で企画している予算案の執行はもちろんのこと、他の外部機関(事業所や事務所などの出先機関)が執行しているものも管理することが必要になります。だいたいの出先機関は、本省・本庁から、予算の配布を受け、執行するというのが、基本的な形なので、どのようなことに予算が必要なのか、年度当初に出先機関から要望を取りまとめたうえで、その案が妥当かどうか、判断し、予算を付けます。その後、執行過程の管理、決算においては、自らの部署で抱えている出先機関の情報を取りまとめる作業が必要になります。これら作業は組織の規模が大きいほど大変になります。
(ⅱ)会計
会計は、実際に予算を執行する際に、支払う内容の妥当性や、書類に不備がないか確認したり、組織が採用している財務会計システムの管理をしたりする門番的な立ち位置です。公務員組織独特のルールについて深い知識が必要になります。会計について、どんな仕事があるのか、地方公共団体を例にとってみてみましょう!
地方公共団体の行う予算の支出等については、地方自治法により厳格に定められています。
〇支出負担行為を行わなければ予算の支出はできません。(地方自治法 第232条の3)
〇予算計上されていないもの、法令に違反するものの支出はできません。債務履行の確認がされていないものの支出はできません。(地方自治法 第232条の4)
〇債権者のためでなければ支出をすることはできません。(地方自治法 第232条の5)
よくわからない言葉が出てきておりますが、支出の「意思決定」をすることが、「支出負担行為」であると考えると解りやすいです。
以下のような流れをイメージしてみてください。
予算案
↓ ←議決(可決)
予算(の成立)
↓
予算の配当、配付、令達←各部・課・所・館・学校などに予算が割り当てられます。
↓
支出負担行為(契約、交付・給付の決定など)
↓
支出命令
↓
支払(執行)
会計はこの一連の流れが、適正に行われているか、膨大な案件数の書類を確認して、適切に行われている案件を執行し、不備があれば突き返し、という作業を行います。
(ⅲ)契約
これも、公務員組織においては必須の知識になります。契約は、予算を執行する際には必ず相手方と何かしらの契約を結ぶことになります。公務員組織における契約の概念はどのようなものでしょうか??
契約とは、私法上の法律効果を発生させる私法上の契約と公法上の法律効果を発生させる公法上の契約があります。
公務員組織においては公法上の契約だろうと思われがちですが、基本的には公務員も、「契約」と称しているのは、売買・賃借・請負等の私法上の債権契約を意味しています。
基本的に契約は自由ですので、締結・相手選定・内容・方式は問いません。つまり、口約束でも書類等でもOKなのですが、総務・庶務関係として扱うものはほとんどが書類を作成して行うものになります。契約担当者個人の利益のために契約の締結をするのではなく、公益を目的に行うものであるため、主観によって自由に行うべきではありません。公正性、経済効果の確保、市内産業の育成、中小企業の育成などを念頭において、行うなど、いろいろ考えるべきことがたくさんあります。特に物品購入契約にあたっては業者の受注機会を確保するため、次の点に留意し契約事務を進めます。
① 極力、自治体内業者が取り扱える品物を選定します。
② 自治体内業者で取り扱える品物は自治体内業者に発注します。
③ 下見積は自治体内業者から徴取します(メーカーからは見積書を徴取しません)。
④ 見積合わせは、自治体内業者同士で行います。
契約の種類についても、いろいろあります。
総価契約と単価契約と概算契約
① 総価契約:単価・数量及び契約金額(総価額)が確定されたうえで行う契約。地方公共団体の契約は総価契約が原則。
② 単価契約:内容または性質上その数量を確定できない場合に、その規格及び単位あたりの価格だけを決定する契約。例外的な契約。
③ 概算契約:概算数量(金額)で契約し、数量確定後、清算することを前提にした契約。
これら、契約について、様々な事例に対して、その場で適切な契約方法を選択して、契約事務を行っていきます。これらの作業は予算の執行を実感しながら、こなせるので、契約事務は公務員組織の中においても、必須の知識である上に、やっていて楽しくなる事務のひとつではないかなと思います。

(2) 人事
人事の仕事は大きく5つに分類できます。
(ⅰ)人事企画
組織内での目標を達成するために、適切な部門構成や人員配置、採用計画を練ります。職員が能力を最大限に発揮するための仕組みづくりです。
(ⅱ)採用関連
採用計画に基づいて、必要な人員を採用するための活動を行ないます。最近ではリクルーター制度の企画や、オリジナルの採用イベントの企画、SNSを使った採用活動など、採用手法も多様化しています。これらを企画・運営するのも人事です。
(ⅲ)教育・研修関連
人材の研修・教育業務を行ないます。研修と言っても、すべてを人事が行なうことは少なく、マナー・スキルアップ研修などは外部の会社に委託することも多いです。委託する先との調整なども行います。外部に委託する際に、自社の社員にどのような研修が必要かを立案し、コーディネートするまでは人事の仕事です。
(Ⅳ)評価関連
職員にモチベーション高く働き続けてもらうための「目標管理制度」や、成果をあげた人がきちんと評価を受けられるための「評価制度」、成果を還元するための制度などを構築する仕事です。ここでは公平性や透明性を求められます。
(Ⅴ)労務関連
社会保険手続、勤怠管理、給与計算、健康診断、福利厚生業務や安全衛生管理などが主な仕事です。書類やデータを取り扱うことが多く、派手さはありませんが、どれをとっても職員が安心して働くために必要なことばかりです。最近では職場での過労死やうつ病の発生が社会問題になっており、メンタルヘルス対策にも注目が集まっています。
(3) 渉外・調整
広報活動、議会対応などが主な内容です。
(4) 文書
文書の管理です。
2.本省・本庁以外における総務・庶務
大きく分けると5つに分類されると思います。
(1)総合調整・渉外業務
(2) 経理業務
(3) 給与・旅費・福利厚生
(4)施設維持管理・アウトソーシング管理業務
(5)IT管理
(1)総合調整・渉外業務
こちらは事業所などの中間管理職が行う業務になります。組織目標を作成したり、事務分担の調整、対外的な課題・問題への対応、職員の任用関係など多岐にわたります。支出案件に際しては、決裁に上がってくる書類は全て目を通し、間違いがないか確認します。また、対外的な広報などを担うことも、組織を運営するんだという気概や意識を持ち、取り組まないと、ややもすると事業所の業務が停滞してしまいます。
(2)経理業務
どんな組織でもそうですが、すべての事業を内部だけで完結させることは不可能です。専門家が揃っている組織であっても外注しないと処理できない業務は必ずあります。そのような時に、業者への依頼・調整・契約処理・検査・支払いなどの一連の流れを担うのが、この経理業務です。
この外注業務には、具体的にどのような業務があるのでしょうか。例えば、事務所等の維持管理的な、雑務的なところからいけば、ビルの窓ふきなどの清掃業務からはじまり、HPの維持管理、業務に使う各種システムの保守管理、警備会社、便所清掃イベントの運営業務、広報チラシの作成など、専門的な知識のない公務員への委託、便所清掃まで、自らの組織は自らで維持するしかないので、それら業務も自分たちで行う必要があり、ここにも総務。庶務的な仕事が絡んでいます。自分たちでできない仕事は、ほとんど外注することになります。また、事業所の進める事業を広く周知するために著名人を招いての講演会などを行えば、講師の手配、連絡調整、謝礼や経費の支払いなど、契約だけでなく、支出事務の処理など、対外的ないろいろな業務が考えられます。
予算の管理も経理が行います。その事業所で、今後進めていきたい事業をとりまとめて、本省・本庁などの予算部署に掛け合い、予算を取ってくる仕事、また、限られた予算の中で、その事業にどれだけのお金を使うのか、工夫を凝らして考え、予算計画を立てます。それに、基づき、先ほど言った契約などの手続きを踏んで、どんどん執行していきます。
物品の購入も経理の仕事になります。事業所の中で、業務が停滞しないように物品の管理を行う必要があります。
(3)給与・旅費・福利厚生等
職員の給与や報酬、旅費などの必要経費の執行、福利厚生に関する諸手続き(社会保険、各種サービス等)などを処理します。基本給はシステムで一括管理されているところがほとんどですが、その事業所に特有のものや、属人的な要素が絡む手当のなどの支給については、事業所の職員で個別に対応するほかありません。基本的にはシステムで処理できない部分を補完するような仕事が多いでしょうが、所得税・住民税の処理や、社会保険関係の手続きに関しては、比較的専門的な知識も要求されるため、専門的な知識がないと意外と苦労します。それでも、自分の給料がどのように支払われ、どのような仕組みで、社会保険のシステムが成り立っているかとなど、基本的なことを身に付けることができます。
(4)施設維持管理
組織によって特有の施設がありますが、それら施設のメンテナンス、修理などを発注したりします。日常で起こりうる様々な事案に迅速に対応する必要があります。ここも、総務。庶務担当の職員が、業者を選定し、調整、発注、契約、支払いなどの一連の流れを簡潔さえ、適切な施設運営に貢献します。
(5)IT管理
組織内でのパソコン、プリンター、共有サーバなどの維持管理業務です。日々職員が問題なく円滑に、業務に臨むためには、必須の業務になるかと思います。
以上が、ざっくりとした、総務・庶務に関する内容です。ありがとうございました!!
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