産業教育に関する業務って何?~日本の未来を担う人材を輩出すための教育~

教育委員会の仕事を紹介してきていますが、あまり知られていない、産業教育に関する仕事について紹介します。

産業振興に関すること

職業学科のある高校(工業、産業、商業、農業、総合等)を対象として、施設・整備の整備、維持管理等を行っている。そもそも産業教育とは具体的にはどのようなものを指すのか?また、なぜ、産業教育のみクローズアップして、工業高校や農業高校などを事業によって、推進していく必要があるのか?私も最初は、よくわかりませんでした。

産業教育とは、産業従事者にとって必要な知識,技能,態度の習得を目的とする教育で、第戦前は実業教育と呼ばれていたそうです。戦前は製造業中心の産業でしたので、工場などで働く技術者など、技術を学ばせることにより、産業力の向上による国力の増強を国策として行っていたのが、始まりのようです。学校で行われる産業教育は,中学校の技術・家庭科,高等学校の各種職業課程など、段階的に編成されており,その振興をはかるため 1951年産業教育振興法が制定されました。

私は普通科出身ですので、あまり産業教育と言われるものになじみがなく、比率的にも普通科出身の人の方が圧倒的に多いと思うので、なじみのない方が多いかもしてませんが、現代においても産業教育は非常に重要な教育だと思います。近年はIOTや、プログラミング、AIなど、特殊な技能を持った人材が求められており、しかも、そういった人材は圧倒的に不足している現状があります。実際私もこれから、プログラミングなどを学ぼうとしていますが、産業教育を受けている人は基礎がすでに身についていて、実際社会に出てからも役に立つ知識が身についていることが多いと思います。

産業教育振興法の抜粋をいかに、載せますが、「特別の措置」という言葉が何度もでてきますので、国としても、力を入れて取り組むことが強調されています

第一章 総 則

(目的)

第一条 この法律は、産業教育がわが国の産業経済の発展及び国民生活の向上の基礎であることにかんがみ、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神にのつとり、産業教育を通じて、勤労に対する正しい信念を確立し、産業技術を習得させるとともに工夫創造の能力を養い、もつて経済自立に貢献する有為な国民を育成するため、産業教育の振興を図ることを目的とする。

《改正》平18120

(定義)

第二条 この法律で「産業教育」とは、中学校(義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部を含む。以下同じ。)、高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。以下同じ。)、大学又は高等専門学校が、生徒又は学生等に対して、農業、工業、商業、水産業その他の産業に従事するために必要な知識、技能及び態度を習得させる目的をもつて行う教育(家庭科教育を含む。)をいう。

《改正》平10101

《改正》平18080

《改正》平27046

(国の任務)

第三条 国は、この法律及び他の法令の定めるところにより、産業教育の振興を図るように努めるとともに、地方公共団体が左の各号に掲げるような方法によつて産業教育の振興を図ることを奨励しなければならない。

一 産業教育の振興に関する総合計画を樹立すること。

二 産業教育に関する教育の内容及び方法の改善を図ること。

三 産業教育に関する施設又は設備を整備し、及びその充実を図ること。

四 産業教育に従事する教員又は指導者の現職教育又は養成の計画を樹立し、及びその実施を図ること。

五 産業教育の実施について、産業界との協力を促進すること。

(実験実習により生ずる収益)

第四条 地方公共団体は、その設置する学校が行う産業教育に関する実験実習によつて収益が生じたときは、これを当該実験実習に必要な経費に増額して充てるように努めなければならない。

《改正》平15117

(教員の資格等)

第五条 産業教育に従事する教員の資格、定員及び待遇については、産業教育の特殊性に基き、特別の措置が講ぜられなければならない。

(教科用図書)

第六条 産業教育に関する教科用図書の編修、検定及び発行に関しては、産業教育の特殊性に基き、特別の措置が講ぜられなければならない。

 

これらの産業教育に関する事務については、いろいろな案件に随時対応する必要があり、教員系の職員が配置されている部署などとも、連携して、現場の声を聴きながら、行っていく必要があります。

 内容

 国の法律に基づいて、実施している産業教育ですが、実際は国庫補助は廃止となっており、地方自治体が財源をねん出して、産業教育に必要な環境を整えているのが現在の実態です。

主な、仕事は産業教育に必要な備品や設備を買うための予算の割振りを行うことです。産業教育には様々な設備や特別装置、パソコンなどが必要です。以下が、概要になります。

【産業教育設備の購入(備品購入費)】

概要

産業教育に使うための、設備、備品を購入するので、金額はかなり大きくなります。よく、あるのが、備品や設備として、金額の小さい消耗品などを、備品一式などと、中にしれっと入れ込んで学校から、請求してくるケースです。その場合は、産業教育振興の趣旨にあう、予算の使い方をする必要があるので、精査して、学校の予算で購入してもらうよう調整したりといった作業も出てきます。

年間スケジュール

①翌年度の設備や備品等の要望調査を工業、商業、農業校などの対象校に発出(5月中旬)

→4月中に依頼し、学校の精査期間を確保します。

②各校要望とりまとめ、教員系の職員がいる部署に依頼してどの備品、設備に予算を付けるか順位付け、検討を行います(7~8月)

③来年度予算要求

各校の要望取りまとめと並行し、来年度の予算要望を行う必要があります。予算要求は基本的にはいくら必要か見積などを参考を積み上げで金額を算出しますが、要望取りまとめが終わり、どの備品、設備に予算を付けるかを決定するのが、9月以降になりますので、予算の積算根拠を作る時期には間に合いません。実態としては、産業教育にかかる備品設備は毎年、老朽更新を含め、必ず必要になってくる経費であるので、経常的な経費として、予算をある程度確定した枠で取るということを行っています。ただ、増額要求が必要になった年には、かなりタイトなスケジュールの中で、予算の積み上げを行う必要がありますので、相当大変です。学校数によって業務量はかなり変わってくると思いますので、地域によって差はあると思います。

④各校要望内容の精査、学校へのヒアリングなど実施します(8~9月)

 担当者との調整、また、設備が更新されるかどうかで学校のカリキュラムにも影響が大いにでてきますので、校長なども交えた調整を行うこともあります。全校の要望を聞くことができるわけではないので、ある程度割り切りながら、調整しないと交渉がうまくいかないこともあるかと思います。

⑤翌年度予算決定(内容・金額)、対象校に通知(2~3月)※予算原案発表後

 予算の正式な決定は議決を持って決定になりますが、原案が発表されれば、ほぼぼぼ確定なので、どのくらいの予算がついたのか、各学校へ知らせてあげる必要があります。なぜなら、早めに知らせてあげないと、学校で購入にあたっての契約などを行う調整を進めることができないからです。金額の大きな備品、設備になると、特別な仕様のものが多く、発注から納品まで、時間がかかることが多いので、カリキュラム上、必要な時期に設置が間に合わないという事態になりかねないので、早め早めに通知を行う必要があります。

 その他随時行うこと(予算決定以降のもの)

①学校からの個別相談対応について

ア 仕様を変更したい

前年度に要望したものを、当年度に購入するときに、当初要求時と状況が変わり、製品の仕様を変更したいという要望が学校から来ることがあります。

 ⇒原則禁止です。なぜなら、予算は当初の仕様書や見積書などを基に、認めており、それを変更すると予算を付けた趣旨に反するからです。ただ、もっともな理由があり、予算の範囲内であれば、予算の執行において、縛りや制限が設けられているわけではないので、認めても良いかとは思うので、そのあたりの必要性の精査を内部で検討して判断する必要があります。

イ 決定された備品に対して、予算の増額をしてほしい

 これについては、基本的にはダメです。上述したように、要望時の内容で予算の決定をしているので、その予算の範囲内で、対応するというのが、原則です。ただ、毎年、予算の高執行率をキープすることは重要であり、増額してもきちんと執行してくれるのであれば、それはそれで悪いことではありません。なので、個別で判断していくことになります。

・仕様変更(スペックを上げた等)による場合 →原則不可

・法令や業界基準が変わった等、見積時から外的要因がある場合 →やむをえなければ可

・学校のミス(見積に必要な作業を入れ忘れた等)による場合 →個別判断

・購入する際に、参考見積の取り直しや追加の指示があり、それに基づき、入札時の予定価格を上げる必要がある場合 →やむをえなければ可

ウ 決定された備品以外で、予算配付をしてほしい

⇒原則不可ですが、校長から別部署を通じて依頼がある場合や、理由に緊急性(生徒に危険を及ぼす等)・必要性(代替できるものがなく授業が成り立たない等)がある場合は例外的に認めますが、予算残額との兼ね合いは十分注意します。

エ 備品購入にあたって工事が必要

⇒設置(配管との接続や、床壁の撤去等)や電気容量増など、備品購入契約の中で対応しきれない作業が出てくる場合、別契約で支出させます。

 ②執行管理と落差金活用

・執行状況を適宜把握しておき、実際に契約を結んだときに、落差金が出ることが

・ある程度の落差金が出たところで、追加で予算措置を行います。(翌年度計画の前倒し等)

 毎年多くの要望が出ていくるのが普通なので、(全体的に設備が老朽化していることが多い)ことが多く、予算増要求が厳しいこと等を考えると、予算の高執行率の維持は不可欠です。学校にによっては年度終盤までなかなか契約をしない場合もあるので、コミュニケーションを取りながら確実かつ早めの執行を促していく必要があります。

【産振備品の維持管理(委託料・一般需用費)】

産業教育の振興を進めるには、備品を購入するだけでは、不十分です。購入した備品の維持管理費が必要になります。具体的には、修繕や維持管理の保守のための予算を必要な学校へ適切に分配していく仕事も行う必要があります。 

     学校からの増額申請対応

校内の執行計画を確認した上で、その業務の緊急性・必要性をメールや電話などで説明させ、教育委員会で保留している分から配付します。やはり学校での教育活動は流動的でなので、当初要求していなかった備品が必要になったり、修繕のための費用が臨時で必要になったりします。その際には、年度初めに各学校に配布したあとの、あまり予算でやりくりしながら、必要性を判断して、予算措置を行います。これら業務は高額な備品に関する経費なので、学校の運営に大きくかかわるので、非常に重要な仕事になります。

     執行管理

 年度終盤に保留分が不足した場合、学校の決算担当から情報をもらう等して、契約したあとの余り額や不用額を吸上げて、足りていない学校へ増額配付を行う処理を適宜行う必要があります。例年、年度当初の予算配付にあたっては、学校ごとの執行額に基づき調整しているため、必要としている学校には配付を行い、実績を作ってあげておいた方が、今後の予算措置にも影響してくるので、執行率をあげるように(全体として不用額が出ないように)、こまめに予算配布を行うのが良いです。

産振PCリース(使用料及賃借料)

近年は、工業科は特にですが、パソコンを使って、プログラムを書いたり、設計図面を引いたり、サーバーなどと一体型になった分析装置などPC関連の機器を使った実習が必須になってきています。パソコンがなくては、なかなか現代のニーズにあった実習ができません。そこで、パソコンだけは独立した予算を立てて、対応することもあります。また、PCはバージョンアップなどの保守対応が随時必要な機器なので、購入対応ではなく、保守なども経費に含めたリース契約で対応することが望ましいです。現場もそうしないと、保守がうまくできず、混乱を生みます。

年間スケジュール

 ①翌年度リース対応の要望調査を対象校に発出(4月中旬)(上述した備品調査と合わせて行います)

 ②翌年度予算の内定、対象校に連絡します。

 ③財務部署へ長期継続契約協議を行います(12月)

リースは基本、5年程度の契約で行いますので、長期になりますので、適切な手続きをとる必要があります。

 ④翌年度予算の決定、対象校に本通知(1月)